お悩みの深いひとから電話をもらった。話の流れの中で、私は「あなたの身体は仏さまです」と口走っていた。相手は、「私の身体が仏さまなんですか」と漏らした。「仏さま」というのは、自分の思いを超えた存在という意味だ。人間は自分の身体を自分の所有物のように錯覚している。〈ほんとう〉は違うのだ。自分は庭に生えている木と一緒で、見えているのは地面から上だけ。〈ほんとう〉は木の根っこも含めて私自身だ。この私の根っこをどれだけ感じ取れるかだ。それで、「木と対話する」というエクササイズを伝えた。近くに神社があると言っていかたから、安心した。あそこにはよい木が生えている。ノートを持参して、木を見ながら何を感じ、何を思ったかをしたためていく。そうすると木からいろいろと教えられる。感じたり思ったりしたことを、そのまま放置するのではなく、それを文字という現象界に定着させていくことが大切だ。現象界に定着させることで、そのひとのタマシイは「現世」に帰ってこれる。やはり究極的なことは、人間を超えたものに教えてもらわなければならない。